皆さんこんにちは。長男の1ヶ月検診を駐車場で待ちながらの投稿です。先日新生児から乳児になりました。※ちなみに新生児は生後28日まで、乳児は1歳まで、幼児は6歳までだそうです^ ^
ここ数年で、有名なスポーツ選手2人が同様の骨折をしました。それは「眼窩吹き抜け骨折」です。
これは眼球の下方にある骨が折れるものですが、実はこの骨折は、骨折することで自分を守る生体防御になっています。
解剖学的に解説していきます。
・眼窩吹き抜け骨折
・眼窩吹き抜け骨折の意義
眼窩とは平たく言えば、頭蓋骨にある眼のくぼみです。窩というのは”くぼみ”を表します。
この眼窩は実際には7つの骨によって構成されています。
画像参照:www.hoku-iryo-u.ac.jp/~yasaka/H20kotuslide.pdf
眼窩はつるつるのお碗のようではなく、裂け目や穴があります。そこを神経や血管が通っているのです。
骨というと硬いイメージがありますが、眼窩の骨は少し違っていて、眼窩の下部は非常に薄い構造になっています。
薄いと突然割れやすいのですが、実は薄く割れやすい構造がヒトのためになっています。
反対に眼窩の上部は脳があるため厚く強度は高いとされています。
眼窩骨折の中でも、眼窩吹き抜け骨折はblow-out fractureといいます。先程述べた薄い眼窩下部の骨が、外からの強い圧力で押された眼球によって折れてしまうのです。その際、眼球を動かす筋や脂肪組織が眼窩下方に陥入してしまいます。
画像参照:http://www.med.fukuoka-u.ac.jp/neuroimag/diag.html
ボクシング井上選手は相手選手のパンチによって、バドミントン 桃田選手は交通事故により、眼球に外から強い圧力がかかり、それにより眼窩下部が吹き抜けるように骨折が起こったということです。
ヒトにとって眼球はとても重要です。もし眼窩が全面的に非常に丈夫だとしたら、外からの力を逃がせずに眼球そのものが、潰れてしまいます。
したがって眼球を守るために、あえて骨折して眼球の逃げ場を作っているといえます。
しかし眼球を守るためとはいえ、骨折しているわけですからいくつか視覚的に問題が出てきます。
主な症状は眼球運動障害(特に上方に動かせない)や複視(物が多重に見える)などが挙げられます。
ボクシング井上選手も相手が2人に見えたと話しており、まさに複視が起きていました。それも2ラウンドに起きたので、その後12ラウンドまでその状態です。試合中は、右手で右目隠して複視を防いでいたそうです。ほぼ片目で世界戦に勝つのですからとんでもないです。※以下、井上選手の試合の記事です。

治療に関しては、その骨折の程度により手術や保存療法が取られるそうです。詳細気になる方はこちらをどうぞ。
私は眼窩吹き抜け骨折を1年次の解剖学で習いましたが、つくづくヒトの体は凄いなと思いました。体の構造を単に強くするだけでなく、必要に応じて弱く構築することもある。
これが最初は1つの細胞にプログラムされていると考えると興味が尽きることはありません。
今回はスポーツや事故と解剖学を結んだ話題を扱いました。いかがでしたでしょうか?
5月になり、風が気持ちよく快適な季節になりました。本当は色々外出したいところですが、今しばらく辛抱ですね。それではまた次回をお楽しみにお待ちください。
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